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キッズシェフで大人を育てる三國シェフ

J.I.フォーラムに行ってきた。『「飽食」の「貧食国」日本』というテーマで、このタイトルは大仰ではないかという気がするけど、内容は極めて良かったです。食育コーディネーター(という職業も初めて知ったんですが(^^;))の大村直己氏がコーディネータを務め、あの有名な仏シェフの三國清三氏、H9から埼玉でファームステイを実践している萩原さとみ氏が、ご自身の食育の取り組みを紹介してくれました。最近興味を持ち始めた「食育」関連の内容だったので気軽な気持ちで参加してみたんですが、思っていた以上に”現場”の話で説得力があり面白かったんですよね。

以前から三國さんが、小学生に甘味・塩見・酸味・苦味・旨味という味覚を体験させる”キッズシェフ”という取り組みをしていることはテレビなどで知ってました。でも、高級店の超売れっ子オーナーシェフが、なぜそんなことをしているのか、実は今回、そこに一番興味があったんですよね。正直に言うと、多少穿った気持ちもあったのだけど、お話を聞いていたら違いました。三國さんは、日本の食に明確な問題意識をもって、99年からキッズシェフの取り組みを始めていて実際に行動している。問題を解決するために自分で行動を起こす、すごい人だなぁと思いました。
印象的だったのは「キッズシェフは本当は大人の食育なんです」という言葉。甘いもの、柔らかいもの好きな子供に引きずられてファーストフード店にいかない大人を育てるという意味です。料理人は職人で、職人の役割は伝承すること。店で修行する若い人に味を伝承すると同時に、その人達が10年たって一人前になったとき、それを受け止めてくれるお客様も育てる、三國さんはそんな想いを語ってくれました。

萩原さんは親子を対象にした農業体験塾”かあちゃん塾”の代表。そこに集まる子供と大人の話はまるで小咄で笑ってしまいましたが、考えさせられるものがありました。「子供は素直に”おいしいね”って感動してくれても、大人は質問ばっかりで疲れちゃうんです」「体験が何より。農業で”待つ”ことが判れば、食べ物への感謝も生まれるし、思いやりや、生きる力が育つんです」

「今は待てない時代」といった三國さんの言葉、「待つことの大切さ」を語った萩原さん、、、私は便利に慣れすぎてるよなぁ・・・。最近、自分を振り返って思っています。きちんと現場を知って自分で行動できる人になりたいって。口だけで手を動かさない評論家にはなっちゃいけないと思っています。反省したり自戒をこめて考えた夜になりました。

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2005年08月31日 23:01に投稿されたエントリーのページです。

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