食中毒をケースメソッドで授業するby西村氏
日経BP社の運営するバイオテクノロジージャパンの中にあるテーマサイト「FOOD SCIENCE」の
保健所OB便りで、9月末の東京海洋大学での授業の様子が紹介されました。
紹介者は、「保健所OB便り」の筆者で、当該授業の講演者の西村さん。
食中毒をケースメソッドで授業する(2006-10-20)という記事です。
取り上げていただき感謝です、西村さん、ありがとうございました!
ケースは、1997?1998年に博多駅近辺で頻発した卵によるサルモネラ食中毒を契機に、
西村さんをはじめとする博多保健所の方々が、様々な情報発信を通して、地域の事業者と
ともに食中毒予防に取り組んだ経緯を追ったケースです。
この授業は、東京海洋大学でケースメソッド授業導入の中心人物である渡辺尚彦教授が、
ご自身で作成された第1号ケース教材を使って、ケースリードした初めての授業でした。
渡辺先生の授業は、初めてとは思えないほど、学生達から発言があり、「教えたいこと」が
きちんと埋め込まれたケース教材と授業設計の重要性を、改めて痛感した授業でした。
私は、渡辺先生のサポート役として、ケース授業の企画段階から関り、西村さん、福岡市の
担当者、外食事業者のインタビューにも同行し、この8ヶ月ほどずっと議論をしてきた授業
だったので、あらためて、外部の方の記事を拝見することは感慨深いものがありました。
ケースメソッド授業は、西村さんのご指摘の通り、実際に起こった事例を教材に、問題解決能力を
養うことを目的としており、体系化された知識を伝授する講義形式の授業と目的が異なります。
授業は討論型で進められ、当事者の立場で課題を抽出し、解決策(選択肢)を考え、
選択するというプロセスを、討論しながら学んでいこうとする授業スタイルです。
実践を伴わない教室内での思考シミュレーションであるため、本当に問題解決能力を養えるのか、
という疑問の声もありますが、私自身は、短時間で様々なケースを読み、解決策を考えることによって、
課題を抽出する際の着眼点や、解決策を検討するための思考プロセスを学ぶことができ、
将来、どこかの現場で何らかの課題に直面した場合に役立つのではないかと信じています。
まだ改善余地のある取り組みですが、いろんな方の意見を頂きつつ、ケースメソッド授業を
ブラッシュアップしていきたい!と思った記事でした。