3月5日に、明治記念館で開催されたウチダ食品フォーラムにいってきました。
日本食糧新聞社のおふたりによる基調講演の所感を書きます。
「食の安全・安心」を巡る行政と食品産業の動向
日本食糧新聞社 編集本部先端取材局局長 伊藤哲朗氏
まず、印象的だったのは、”(消費者を)裸の王様にしていないか?”のひと言。
食品表示をめぐっては、科学的議論ができない点が問題で、消費者に勉強してもらうような
情報提供を企業がすることが必要、という主張と理解しました。賛成です。
逆に、消費者(自分自身を含めて)の方も、権利だけ主張する「お客さん根性」を変える頃です。
もう受身でのほほんとしていれば済む時代ではありません。自分の身は自分で守らないと。
身を守るためには、いい企業は、きちんと育てて、支えていかないと。
消費者には権利もあると同時に、消費者としての「社会的責任」もありますから。
また、伊藤氏の講演によって、各地の生協の中国産加工食品への対応の背景が判りました。
例えばコープさっぽろの対応は、かねてより進めていた地元の道産商品の取り扱いをあげる
という方針があっての判断だったとのこと。
今回の件では、コープさっぽろ以外の小売や外食を含めて、単に”取り扱い中止”、”一旦停止”、
”国産に切り替え”といった観点でしか報道されなかったケースが大半だったかと。
事実なので仕方ないのですが、記者や新聞社の主張は書いてなくても、書き手の意図は暗黙の
うちに受け手に伝わるもので、いつの間にか「中国産=毒or悪」という図式が私達の頭の中に
できてしまったんじゃないでしょか。
こうした報道を耳にしていて、単にやめるという対応はちょっと危ういぞ、と思っていました。
中国産の食品の全てに問題があるとは思えないからです。逆に国産だから良いとも限らないはず。
原因究明されていない現時点では何ともいえませんが、例え今回の件の原因が中国の工場に
あったとしても、中国産はALLダメ、では大人気ないでしょう。
人の気持ち(消費者心理)は勿論大事ですが、科学的な根拠を示して議論and/or行動していか
ないと、日本は輸入食品に頼らざるを得ないのに、どこの国とも良い取引関係を築けなくなります。
ということで、事実の背景として、様々な対応をしている小売/外食側の真意や意図を知りたいと
思っていました。それが伊藤氏の講演で判った点は私にとって収穫です。コープさっぽろであれば、
ラルズやAEONとの競争で勝ち抜くために、地場の小売としての存在価値を高めようとする戦略的
判断ということです。
食の安全安心に関する報道では、バッシング傾向が強いというか、特定の価値観に偏りがちで、
危うくて仕方ありません。多様な視点から、多様な意見を報道してくれるといいんですが。
* * *
「食品業界のシステムについて〜現状・課題・今後〜」
日本食糧新聞社 21世紀事業本部事業部長 一瀬隆氏
アルカナムを消費者がどう評価するか、eBASEかMercriusか、など、1年前から、コープさっぽろや
サプライヤー企業を取材していたなかで、私自身も考えていた内容とどんぴしゃでした。
でも今日は既に長く書いたので、また今度。
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